9課

Q0:

この課で学習する新出語彙を教えてください。

A0:

こちらのページをご覧ください。

 



Q1:

この課で学習する大切な文型は、何ですか。

A1:

第5課で勉強した「行きます、来ます、帰ります」の3つの動詞に目的をつけた「(場所)へ(目的)に行きます/来ます/帰ります」という文型です。

第6課でもこの文型を学習しましたが、第6課の場合は、目的として使われることばは名詞に限定されていました(いまから仕事に行きます)。

この課では、目的に動詞を用いた場合を学びます

(昼ごはんを食べます→食べに行きます)。

また、「~ませんか」という誘いと、それに答える

「~ましょう」も、もうひとつの大切な文型です。

 



Q2:

この課では、どんなことが話せるようになりますか。

A2:

人を誘うこと、また誘いに答えることは、友だちを作ったり 人間関係を円滑にするための大切な手段の一つです。

この課では、日本へ来た目的について話したり、週末にどこへ行くか話したり、 また、「いっしょに映画を見に行きませんか?」のように人を誘うことができるようになります。

 



Q3:

教科書以外に、支援者が用意したほうがいいものがありますか。

A3:

レストラン、デパート、郵便局などの絵や町の名前を書いたカード(学習者がどんなところへよくでかけるか、どこへ行ってみたいと思っているか、 リサーチしておくと良いでしょう)、 会話練習やおしゃべりタイムを発展させるタスクのために、 スケジュール表などを用意するといいでしょう。

学習者同士で自分の予定を考えながら、誘ったり、断ったり、 スケジュールを調整したりしながら会話を進めていけます。

 



Q4:

実際に、どのような順番で教えますか。

A4:

 

①「行きます、来ます、帰ります」は学習者によっては、いつまでも混乱をしてしまう動詞です。もう1度、復習しましょう。

②「(場所)へ(目的)に行きます/来ます/帰ります」は 学習者が助詞の使い方で混乱するところです。必ず、板書してゆっくり導入しましょう。

これは一つの例ですが、「レストランへ行きます。」「レストランで何をしますか?」「食べます。」「何を?」「晩ごはんです。」と言うような

学習者とのやり取りを板書し、これらを一つの文にまとめていきましょう。「たべます→たべに」助詞「に」の前は「動詞のます形」であることを明記してください。

「レストランへ晩ごはんを食べに行きます。」

助詞は色を変えるなど工夫をしてください。

③「~ませんか」で「誘い」(相手の気持ちを聞く)

④「~ましょう」で「同意」 ③と④はセットで導入する方が分かりやすいかもしれません。

⑤誘われたときの答え方、特に、日本語独特のソフトな断り方を導入すると良いでしょう。 



Q5:

学習者から「レストランに晩ごはんを食べに行きます。」はいいですか?と質問されました。

 

A5:

5課でも「~へ行きます/来ます/帰ります」も、

「~に行きます/来ます/帰ります」も、どちらもいいと言っておいたほうがいいでしょう。

ですから、この場合も、「絶対にだめ」と言うのは避けましょう。 ただ、1つの文の中に「に」「に」と同じ助詞が二つあると違和感がありますので、その点を少し説明して、「~へ」の方が自然であることを理解してもらいましょう。

第5課のA5を参照してください。

 



Q6:

「買い物します」「勉強します」などの「~します」動詞の場合、 「します」をとって「買い物にいきます」になり、これは学習者にも良く理解してもらえます。ですが、「日本語を勉強します」+「来ました」の場合は、「日本語を勉強に来ました」は間違いです。

「日本語を勉強しに来ました」は正しいのですが、「勉強」という名詞を使うのでしたら、 「日本語の勉強に来ました」としなければなりません。

この点について、学習者からどうして「日本語を」ではなく「の」 を使わなければならないのかと質問されました。

 

A6:

 これも、とてもいい気づきです。

Q5のときと同様に、学習者と一緒に考えて行きましょう。この学習者は、「勉強する」がひとつの動詞であり、「勉強に来ました」のときの「勉強」は名詞であることが、 よく理解できていないのでしょう。

まず助詞の「を」が「本を読みます」「パンを食べます」のように動詞と共に使われること、 したがって「日本語を勉強します」の場合は、「勉強します」がひとつの動詞であることに気づかせましょう。「勉強」と「勉強する」の違いに気づいたら、

名詞「日本語」+「の」+名詞「勉強」の形を理解できるのではないでしょうか?

「日本語の勉強に来ました」は、「日本語を勉強しに来ました」と同じ意味で、もっと短い言い方ですが、 学習者にとって厄介な助詞について質問ができ、支援者との会話の中で気づき、 学習していくことは大きな喜びだと思います。

もちろん、何の質問もなくスムーズに学習が進んでいくようなら、 敢えて支援者から説明する必要はありません。



Q7:

文型Ⅲの「~ましょう」の例文は 1,2と3,4では少し意味が違うように思うのですが。

 

A7:

そうですね。1,2は「~ませんか」で誘われたときに 同意の意味として「~ましょう」を使用しています。3,4は「話し手」の意向やうながしが表されています。色々な場面を設定して、練習するのがいいでしょう。

 



Q8:

誘われたときの答え方は、「~ましょう」だけでなく、 いろいろあると思いますが・・・

 

A8:

誘われたときの答え方は、いろいろありますが、学習者の様子を見ながら、導入していきましょう。

本書では「OK」の場合は

「ええ~ましょう」「ええ、そうしましょう」のみですが、学習者に余裕があるようでしたら、

「ええ、是非。」「ええ、そうですね。」

「ええ、ありがとうございます。」などを。

A9にも述べてありますが、誘いによっては「~ましょう」 が使えないものもありますので、気をつけてください。

断る場合は、相手が不快な思いをしないように十分練習したほうがいいでしょう。

「すみません。ちょっと・・・」「ちょっと、今日は・・・」 「すみません。また、お願いしす。」など。

 



Q9:

この課の文型や表現を使って、どんな活動ができますか。

 

A9:

教室内に場所(レストランやデパート、又は渋谷、浅草など地名)を貼っておき、自分たちの予定表を見ながら、相手を誘ったり、断ったりしながら計画を練り、実際にそこへ移動したりします。

お互いが自分の家に誘うのもいいですね。

一人の学習者を他の学習者が

「うちへ遊びにきませんか?」

「美味しいワインがあります。飲みにきませんか?」

「面白いビデオがあります。見に来ませんか?」

などと誘います。

いろいろな人に誘われたら、どんな風に答えるだろうと観察するのも楽しいです。 ただし、この場合「行きましょう。」

と答えるのには違和感があります。

この場合は「ええ、行きます。」「ありがとうございます。」

「うれしいです。」などの返答が適当であるので練習しましょう。

学習者、支援者とも時間に余裕があるようでしたら、実際に計画を練るのも楽しいでしょう。

教室で学んだことが、生きた会話になるでしょう。