Q1:
この課で学習する大切な文型は、何ですか。
A1:
「きのう見た映画」のように、 文が名詞を修飾する形を学習します。 これを連体修飾(名詞修飾)といいます。
Q2:
連体修飾(名詞修飾)のむずかしいところは、何ですか。
A2:
英語などでは、関係代名詞を使って、その名詞を説明する部分は後ろに来ますね。 日本語では、それが前に来ます。また、連体修飾節の動詞は、普通形(見る、見ない、見た、見なかった、見ているなど)になります。
Q3:
学習者は、「連体修飾」や「名詞修飾」のような むずかしいことばは、わからないと思います。どのように説明すればいいですか。
A3:
そのような用語は使わなくても、つぎのように説明すれば大丈夫です。
いままで、「わたしの本」や 「新しい本」のように、 名詞や形容詞が「本」の前に来る言い方は学習してきています。それと同じように、「きのう、買いました」という文を、 「本」の前にもってくると説明すればわかりやすいでしょう。
「きのう買った本」の下線の部分も、「わたしの」や「新しい」と同じように本の説明になります。
Q4:
「わたしは、きのうこの本を買いました」と本の説明をして、
連体(名詞)修飾文を作らせたら、「わたしはきのう買った本」と言う文になってしまいした。
A4:
A2で、連体修飾(名詞修飾)の難しい点を挙げましたが、 もうひとつむずかしい点があります。それは、助詞の問題です。修飾節の中では、
「わたしは、きのうこの本を買いました。」のような主題の「は」は使われず、「わたしがきのう買った本」のように「が」になります。また、「わたしの買った本」のように、 「が」のかわりに「の」を使う場合もあります。
Q5:
連体(名詞)修飾文を作っていると、「あした食べるパンを買います」など、何だか不自然な
感じがしてきます。話し言葉では、あまり使わないように思いますが。
A5:
たしかに連体修飾を使わなくても、
「パンを買います。あしたそのパンを食べます。」
のように、単文を並べればすむかもしれません。
ただ、よく使う便利な連体修飾の文もあります。
「子どもと遊ぶ時間がありません。」「日本語を勉強する時間がありません。」のように時間について言う時、 「相談する人がいません。」のように人について言う時などは、この連体修飾があるから言いたいことが言えるのではないでしょうか。
また、「これは、京都でとった写真です。」のように、 ものを見せながら説明する時などもよく使いますね。
Q6:
文型Ⅲの「ジャンさんは ひげを
はやした人です」と「ジャンさんは ひげをはやしている人です」は同じ意味ですか。
A6:
そのとおりです。ほかにも、「着る」、「はく」、「かぶる」のような 身につけるものに関する動詞が連体(名詞)修飾に使われるとき、 た形と「ている」の形は同じ意味(状態)を表します。
ただし、動詞によって、この2つの形が違う意味になることもあるので、気をつけましょう。
れんしゅう5のように、
「マルタさんはピアノをひいた人です。」と
「マルタさんはピアノをひいている人です。」
では、意味が違ってきますね。
前の文では、マルタさんはもう、ピアノをひき終わっていますし、 後の文では、いまひいている最中です。
Q7:
おしゃべりタイムの「これはなんですか」はどのようにやりますか。
A7:
支援者がまず、例を示すといいでしょう。
そのときに、「わたしは、知っています。でも、皆さん(○○さん)は、知りません。 考えてください。いろいろ質問してください。」と説明します。
最初のうちは、例になるものを、袋の中にいれたり、ポケットの中に隠したりするといいでしょう。 教科書に書いてある絵のものでなくてもかまいません。質問の文はなるべく「食べるものですか?」のように、連体(名詞)修飾を使うようにします。
ルールがわかってきたら、学習者同士でAさんBさんになり、ゲームをします。また、「もの」だけでなく、「人」「ところ(場所)」を使った 連体(名詞)修飾ゲームもできます。