Q1:
この課で学習する大切な文型は、何ですか。
A1:
いわゆる形容詞の文型です。
物事の様子や性質を表すことばをまず覚え、名詞の前に来る(名詞を修飾する)形容詞、 述部で説明する形容詞の文型を学習します。
また、希望や願いを表す「~たい」の文型も勉強します。
Q2:
この課では、どんなことが話せるようになりますか。
A2:
見聞きした物や人、場所などについて説明が出来ます。また、自分の気持ちや感想を言い表すことが出来て、日本語を話す楽しさが増してきます。
レストランなどで何がほしいのか自分の希望が伝えられ、店の人と会話をし、注文することが出来ます。
Q3:
教科書以外に、支援者が用意したほうがいいものがありますか。
A3:
形容詞の絵カード(大きい/小さい/静か・・・)、 身近にある品物、写真、いろ紙などできるだけたくさん用意しましょう。
ことば(語彙)を増やすのに便利です。
また、メニュー(手製可)や飲食物の絵や写真があると楽しく練習できます。
Q4:
形容詞という文法用語を使ってもいいのでしょうか。
A4:
使ったほうが説明しやすくなります。
形容詞には2種類あって、それぞれ違った活用をしますので、 二つを区別するためにも「形容詞」ということばを覚えてもらいましょう。
ちなみに2種類は「い形容詞」と「な形容詞」です。
Q5:
最初はどのように教えますか。
A5:
まず新しいことばから始めましょう。
大小のもの、(例)実物のかばん2個、または絵に描いた大小のりんごを見せて指差し、「大きい」「小さい」といい、 学習者が同じように繰り返して練習。次に「このかばんは大きいです」のように文にして練習します。
同じ手順で別のことばを導入していきます。
大小のように対になる言葉は同時に教えますが、 対にならないものはこだわることなく一つずつ覚えさせましょう。語彙増やしには絵カードが大変便利です。
Q6:
一度にいくつぐらい教えますか。
A6:
個人差がありますが、10~15語ぐらいでしょう。
Q7:
文型Ⅰの「レストランは駅から近いです」と
文型Ⅲの「駅から近いレストランです」
はどう教えますか。
A7:
簡単な手描きの地図(駅やその周辺に店、レストランを描き、 少し遠いところに学校、公園などを描いたもの)を準備します。
地図を見ながらここは駅、レストランと指差して
「レストランは駅から近いです」を理解させます。
「駅から近いレストラン」は文の意味は同じですが、文の形が違いますね。
レストランがどこにあるか、どんなレストランか、レストランに注目して 「駅から近いレストラン」という言い方が出来ます。
日本語では「近いレストラン」(形容詞+名詞)の順序で、(名詞+形容詞)「レストラン近い」 ではありませんので注意してください。 次に「学校は駅から遠いです」も同様に説明しましょう。
また「新宿や渋谷は賑やかです」「(学習者)の家、図書館は静かです」を教えるとき、 「『近い、遠い』には『い』がありますが、『賑やか、静か』には『い』がありませんね」と、 その違いに気がつくようにすると後の勉強のために効果的です。
Q8:
い形容詞、な形容詞の教え方は?
A8:
かばんを持って「このかばんは大きいです」
「これは大きいかばん、 高いかばん、 黒いかばんです」といくつか言います。
かばんの前の形容詞に全部「い」がついていますね。これを「い形容詞」といいます。
また、「これは丈夫なかばん、 きれいなかばんです」では、 かばんの前の形容詞に「な」がついています。これを「な形容詞」といいます。
「い/な形容詞」を区別するために「どんなもの、人、所?」など質問しながら分けていきましょう。 そのとき「きれい、きらい、有名」は「な形容詞」であることをおさえておいてください。 「きれい人」ではなくて「きれいな人」です。
Q9:
文型Ⅳの「レストランは遠くないです」はどう教えますか。
A9:
否定形ですね。小さいかばんを持って「このかばんは大きいですか?」と質問をします。 「いいえ大きいないです」と答えるでしょう。ここからことばが変わることを教えます。
板書か、紙に書いて「大きい」の「い」を消して「くない」をつける→「大きくないです」を導き出します(い形容詞)。また、「新宿は静かですか?静かな町ですか?」同じく書いて 「静かな」の「な」を消して「では/じゃありません」を つける →「いいえ静かでは/じゃありません」(な形容詞)。ここでは「い、な形容詞」の活用をしっかり勉強しましょう。
Q10:
文型Ⅴの「私はコーヒーにします」は「何かをします」
とは違いますか。
A10:
そのとおりです。この「~にします」は選ぶ、決めるの意味です。
「ここはレストランで、お客と店の人の会話です」
といってメニューを用意し(簡単な手書きのもの)
「いらっしゃいませ、何にしますか?」
「コーヒーにします。」「私はアイスクリームにします。」など楽しく練習してみましょう。
Q11:
Ⅷの文型では「メニューでございます」といっていますが、 敬語も勉強しますか。
A11:
いいえ、今の段階では敬語としてではなく、客と店員に限定して表現として教えてください。
敬語は大切な勉強ですのでもっと後できちんと学習することになります。
Q12:
文型Ⅵの「~のみたいです」は
どのように教えますか。
A12:
たとえば
「犬と1時間散歩しました。暑いです。のどが渇きました。水!水を飲みたいです。」
「おなかがすきましたね。(メニューを見ながら)
あなたは何を食べたいですか?」。
自分の希望を話す「~たいです」は状況を決めて
「何をしたいですか?」の質問をするといいでしょう。「日本に来て、何をしたいか?どこへ行きたいか?」など会話をしながら練習できます。