Q1:
この課で学習する大切な文型は、何ですか。
A1:
1.Nができます
(私はパソコンができます)
2.辞書形+ことが できます
(上手に日本語を話すことができます)
3.辞書形+ことは 楽しいです
(友達と日本語で話すことは楽しいです)
4.辞書形+前に・・・
(カメラを使う前に説明書を読みます)
Q2:
「辞書形」という名称を始めて聞きましたが、何ですか。
A2:
「話す」「見る」などの動詞の形です。 辞書で動詞の見出し語に使われている形なので、「辞書形」と呼ばれています。
「辞書形」を学習すると、学習者は意味の分からない動詞を 自分で調べることができるようになります。
実際に辞書に辞書形で載っていることを示してあげるといいですね。
Q3:
では、「辞書形」の作りかたは、どのように説明すればいいですか。
A3:
1.50音表を用意します。
2.Ⅰ,Ⅱ,Ⅲグループ全て[U]の音で終わります。
(動詞のグループについては14課Q5を参照)
3.Ⅱグループの作り方が最も簡単です。
Ⅲグループは2つの動詞しかありません。したがって、Ⅱ→Ⅲ→Ⅰ の順番で説明するといいでしょう。
4.Ⅱグループ たべます → たべる taberu
(「ます」をとり「る」)
Ⅲグループ します → する suru
きます → くる kuru
Ⅰグループ かきます → かく kaku
Q4:
「~が できます」と「~ことが できます」は、 どちらも能力とか可能性の意味だと思いますが、どう違いますか。
A4:
では、二つの文をくらべてみましょう。
「ニーナさんは日本語ができます」
…「~が できます」の前は名詞です。
「ニーナさんは日本語を話すことができます」
…「『日本語を話します』ができます」と言うことはできません。
動詞接続の場合は名詞化しなければなりません。
名詞化するには動詞の辞書形に「こと」をつければ
いいのです。
もう一例あげてみましょう。
「コンビニで 払い込みが できます」
「コンビニで払い込むことができます」
「払い込み」は名詞で「払い込みます」は動詞です。
Q5:
でも、私達は「日本語が話せます」 と言っていると思いますが。
A5:
その形は「可能動詞」といい、 確かに「日本語を話すことができます」より自然で、 使われる頻度も高いです。
しかし、「可能動詞」は、初級後半(『日本でくらす人の日本語Ⅱ』28課) の学習項目になっていますし、この段階では20課の「普通体」につなげるためにも、 「辞書形+前に」の文型が言えるためにも、「辞書形」を学習する意味があるのです。
Q6:
動詞を名詞化するのは「こと」だけですか。
A6:
いいえ、「車を運転することは楽しいです」と同じように 「の」で名詞化して「車を運転するのは楽しいです」とも言えます。
「たいへんです・好きです・上手です・難しいです・楽しいです」は 「こと」と「の」のどちらでも名詞化することができます。
でも、例えば「趣味は山を歩くことです」のように 「です」の前では「こと」を使って名詞化します。
Q7:
「辞書形+前に・・・」はどのように教えますか。
A7:
前後関係が明らかな事柄を二つ提示します。
そして、1番目の事柄と2番目の事柄を学習者に確認します。
Ⅰ「切符を買います」
Ⅱ「電車に乗ります」→「乗ります」を辞書形にする →「乗る前に」
「電車に乗る前に、切符を買います」
Ⅰ「ビザをもらいました」
Ⅱ「日本へ来ました」
「日本へ来る前に、ビザをもらいました」
時制には左右されず、文末だけが過去になる練習も忘れないで下さい。
「切符を買ってから、電車に乗ります」とは時間関係が逆なだけで、 互いに言い換えることができます。
おしゃべりタイムの「どんなことをしましたか」などを使って、 楽しく文を作るといいでしょう。